ついに、リユニオン・エイジアのニュー・アルバムが登場します。それまでのコンサート・ツアーでは、当然ながら過去の名曲を、円熟した(落ち着いた)彼らがプレーする、有る意味同窓会的な雰囲気がありました。聴く方も、過去の名曲に再び向き合い、若き日の想い出に浸る。。。そんな聴き方をしていた人が多かったようです。そんな彼らの、本当の「現在」を問う新作。ファンは、期待と不安の双方を抱きつつ待ちつづけていました。さらにウェットンが心臓手術をしたという情報が舞い込み、各人はソロ・プロジェクトも並行して進めている。バンド自体がアルバム発表まで持ちこたえてくれるのか?ウェットンとハウがまたケンカ別れするのでは?という不安。。。
そして、2008年4月23日。オリジナル・メンバーによる25年ぶりのニューアルバム「PHOENIX」が、ついに発売されます。
1. Never Again
2. Nothing's Forever
3. Heroine
4. SleepingGiant/No Way Back/reprise
5. Alibis
6. I Will Remember You
7. Shadow of a Doubt
8. Parallel Worlds/Vortex/Deya
9. Wish I'd Known All Along
10. Orchard of Mines
11. Over and Over
12. An Extraordinary Life
13. I Will Remember You (acoustic remix)
ここには、今のエイジアが凝縮されています。ウェットン・ダウンズの最強ともいえるメロディ・メイカーが曲の大半を作った結果、曲調はウェットン・ダウンズの「アイコン」プロジェクト的な香りもしますが、スティーブ・ハウとカール・パーマーが加わったことで、美しいメロディ・ライン、壮大で劇的な展開、豪華で奥行きのあるアレンジといった、エイジアにしかできない音楽がびっしりと構築されています。
そして、これまでのエイジアのアルバムには無かった、「どこか暖かみのある曲調」。80年代エイジアのような、曲を生かすことを優先しようとしながらも、スキあらば前に出よう・自己主張しようというような、ギラギラしたエネルギーが完全に影を潜めています。ウェットン・ハウ・ダウンズ・パーマーが、それぞれ数十年におよぶキャリアによって得た経験と円熟味をもって、カンペキなアンサンブルを作り上げています。
全てのメロディが、深く深く心の奥まで染み通るような。確かに落ち着いているかもしれません。若い頃のような緊張感に欠けるかもしれません。しかし、ここには、長い音楽人生の末にようやくそれぞれが「自分の音楽」にたどり着いた彼らが手を取り合って作り上げた、大人のロックがあります。
年とったとか、侘び寂びとか、枯山水(笑)。。ではなく、深い円熟。そして、ようやくたどり着いた自分たちの音楽を演奏できる喜びと幸福。そんなものが感じられる、とても暖かみのあるアルバムに仕上がっています。
冒頭の「Never Again」。いきなりハードながら深みのあるギター・リフから、GoやOpen Your Eyesを思わせるようなダウンズの華のあるキーボードに支えられた、ウェットンの美声、そして、これぞエイジア!!と言いたくなるような、厚みのある美しいコーラスで歌われる「Never Again」というサビ。そして、「アイコン」と決定的に違う、世界中でスティーブ・ハウにしか出来ない、どこかスパニッシュな雰囲気の漂う美しいギター。
僕らはこれを25年間待っていたんだ!もう絶対に聞けないだろうと思いながら、心の奥底では諦めずに待ち続けていたんだ!
とファンなら叫びたくなるような、
やっと思いに答えてくれたんだ!
と思わず涙ぐみたくなるような、美しく・暖かく・深みのあるメロディの洪水。
Never Again(もう決して繰り返さない)のリフレインに、若き日の過ちはもう繰り返さないという決意を感じて、嬉しくもなってしまいます。
2曲目の「Nothing's Forever」は、ファースト・アルバム「ASIA」後のツアーを思い出させるようなファンファーレから始まる、哀愁に満ちた落ち着いた曲。
3曲目の「Heroine」は、エイジアのアルバム「ALPHA」収録の「The smile has left your eyes」や、ウェットンのソロ作「ARKANGEL」収録の「AFTER ALL」を思わせるような、壮大で美しいバラードです。しかし、「Heroine」は暖かみと深みにおいて、過去のバラードを大きく凌いでいます。珠玉のメロディ・メイカーであるウェットン・ダウンズの本領が最大限発揮された、名バラードです。これほどのバラードを作り表現できるバンド、他にあるでしょうか??
4曲目の「SleepingGiant/No Way Back/reprise」は、なんと8分11秒にもおよぶ大曲です。エイジアがこれまで敢えて近づこうとしなかった、プログレッシブ・ロックの香りが漂います。YES、U.K.、ELP(クリムゾンの香りはあまりしませんが。。)。。それでも、聞き手を無視するかのようなインストルメンタル・バトルにならず、哀愁と深みのあるボーカル・メロディを中心に、最初に提示した主題を展開させきっちりと曲を構成するあたり、エイジアの心意気を感じます。
5曲目の「Alibis」は、明るいポップなナンバー。ダウンズの80年代エイジアやバグルス時代を彷彿とさせるポップなキーボードと、ハウの伸びやかな高音が印象的なギターが華を添えます。そして後半の転調もまた、エイジアらしい味付けです。
6曲目の「I Will Remember You」は、ウェットンの美声が最高に映える珠玉のバラード。ハウのギターとダウンズのキーボードによるサポートも素晴らしい。「Heroine」とはまた違うタイプで、どこか神聖さも漂う癒しに満ちたバラードになっています。こんな曲を作ってくれるなんて、エイジアがリユニオンしてくれて本当によかった。そう思える名曲です。
7曲目の「Shadow of a Doubt」は、明るく希望に満ちた曲調から、どこか「Don't Cry」を思わせます。ダウンズのキーボードが派手ですが、ダサくなる一歩手前で踏みとどまっています(笑)。
8曲目は「Parallel Worlds/Vortex/Deya」。8分12秒に及ぶ大作。ウェットンの哀愁漂うボーカルとハウのスパニッシュ・ギターがリードする前半(2:45頃まで)と、ハウが自在に弾きまくるのエレクトリック・ギターとクラシックギターに圧倒される中~後半の2部構成。中盤はダウンズの「ASTRA」時代を彷彿とさせるロマンティックなキーボードが華を添えます。ダウンズの加わるあたりは、「Misplaced~」時代のMarillionを思わせるような緊張感がありますが、フレーズはやはりエイジア。そして、ハウのギターの巧さは絶品です。その昔、「ギターが巧すぎて、曲にどう取り入れればいいかわからない」と形容されたハウのテクニック、健在です。
9曲目の「Wish I'd Known All Along」は、ウェットンのボーカルを軸に、ハウとダウンズによるスリリングな曲展開が印象的な曲。ボーカル・メロディも良い、佳曲です。
10曲目は「Orchard of Mines」。哀愁漂うバラードです。壮大になりすぎず、落ち着いた曲調を保っているのですが、それがウェットンの声に絶妙にフィットしています。前曲同様、ウェットンのボーカル・メロディが光ります。
11曲目「Over and Over」。希望に満ちたボーカル・ギター・キーボードメロディが横溢する美しいバラード調の曲。エイジアらしい、コンパクトな曲に「明るい!」ドラマティックな展開を込めた名曲。メロディの美しさは、エイジアの数々の曲の中でも指折りでしょう。
12曲目の「An Extraordinary Life」は、ボーナス・トラックを除けば、アルバムの最後を飾る曲。希望に満ちた明るいイントロに始まり、ウェットンの感情を抑え気味にしたボーカルに続き、サビで希望的なコーラスが爆発します。文句なしの名曲。ハウとダウンズの華麗なフレーズが華を添えています。ハウの伸びやかなギターが大変心地よいです。
そして、ボーナストラック。これまでボートラを黙殺してきた私ですが、このアルバムのボートラは一聴の価値ありです。
わずか1年そこらの、私のエイジア歴。結果的に全て後追いとなってしまった幾多のアルバムと違い、私が唯一リアルタイムで登場の瞬間に立ち会えたのが、この「PHOENIX」です。それだけに、思い入れの深さは他のアルバムとは段違い。
どうかこのまま、リユニオンが続いていってくれれば。。。。。
みんな、60歳を超えたいい大人(爺さん?)なのだから、昔みたいに子供じみたケンカせず、お互いのイイとこ認め合って、仲良くやっていって欲しいものです(願)。
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